事実は何か

2020.05.13
平松佳一
今日(2020年5月13日)の日経新聞1面にこんな見出しの記事がありました。

「9月入学 知事の6割賛成

  本社調査 グローバル化期待」
 
学校の学年の始まりや入学時期を変えたらどうか
という議論に関するお話ですね。
 
この見出しを読んだ人は、どう受け止めるでしょうか。

「全国の知事さんの半分以上が9月入学に賛成している」

「47都道府県あるから、30人近くの知事さんが9月入学に賛成している」

こんなことをパッと考えそうです。

そこで記事を読んでみます。
アンケート結果についての内容をまとめると、

・知事を対象に5月上旬にアンケートをした
・12日までに41人が賛否を明らかにした
・その41人のうち
  賛成 と回答→18人
  どちらかといえば賛成 と回答→6人
  反対 と回答→2人
  どちらともいえない と回答→15人

ということでした。

最初にパッと考えそうな内容とはちょっと違うなと。

見出しでは、
賛否を明らかにした41人のうち、
賛成と、どちらかといえば賛成をあわせると24人ということで、
「6割賛成」
という表現をしたと思われます。

この表現が現状を表しているかというと、そうではないです。
47人の知事さんの6割が賛成の意思を表明しているという事実は
少なくとも記事からは読み取れません。
読み手が勝手に解釈したか、
見出しそのものが間違っているのではないか?
という受け止めになります。
 
このように、見た目だけ、目に見えているところだけを見ると
事実を見誤るかもしれません。

事実の認識を間違えると、課題解決の対策を間違えます。
手を打っているのに成果が出ない、ということになります。

私たちは日常の仕事や生活の中で、
往々にして、思い込みや勝手な推測が働かせていることがあります。
これ、落とし穴です。

たとえば部下からの報告内容を、
事実と意見(~と思います)・伝聞(~とききました)・推測(~らしいです)を
区別して聴いているか?
また、決めつけで聴いていないか?

事実は何か?

事実をつかむことが問題解決の第一歩です。


※あとがき
 今日のブログは、9月入学の是非を論じるものではありません。
 事実をつかむことが大切というテーマを取り上げる上で、
 わかりやすい事例として9月入学に関するアンケート記事を
 題材とさせていただきました。